美彩新作「チョウチンアンコウ」

過日サンシャイン水族館で深海魚展を見た感動のまま、美彩さんに彫ってもらった「チョウチンアンコウ」デビルっぽい色合い、口の大きさ、知っている人でこんな顔のおじさんいたなとほくそ笑むわたくし。

でも、いわゆるチョウチンアンコウは雌、女の子。

 

 

チョウチンアンコウは、小さい頃から何かで見かけて覚えた魚。絵本のイラストでは、頭に光る提灯を提げ、暗闇を灯してみんなを助ける心優しいお魚ちゃんでした。

このチョウチンアンコウのせいで、深海魚は全部、頭の先に光る提灯が生えているものだと誤解していた時期もあります。

頭の突起というか触手:棘が進化したものだとか

触手の先のひらひら:動きで餌になる生き物を連想させる疑似餌本体

触手の先の発光器:体内に住んでいる発光バクテリアの光りを活用。構造は光ファイバーみたいになっている(自然の企画開発力、凄い…

 

どれも必要から、改善のために変化(進化)した結果と思うと、そこに至るまで、生きにくい深海で、何匹のチョウチンアンコウが失敗して死に続けたことであろうか(遠い目

大人になっても深海魚への興味は尽きず、ある日チョウチンアンコウの『不思議な結婚』を知りました。

 

個体数も少ないし、いつでも、どこでも、何度でも、出会いがあるとは限らない深海。

 

チョウチンアンコウの雄は、雌のフェロモンをたどり広い海底を移動、出会ったら逃がさない。腹部にかみつき、徐々に雌の体に同化し、最後は生殖器のみ残し、体ごと雌に取り込まれ、雌から栄養をもらって寄生しているような状態に。雄は生きているだけで餌を食べる競合者だし、種だけあればオッケーということなんでしょうか。

「そんな扱いでも、オレはええんやで」と雄が受け入れたのか(諦めたのか)
擬人化して想像すると、なかなか切ないな、雄。

ちなみに、サイズ情報。

雌が体長40~50㎝に対して、雄は5㎝程度。
雌にすれば、嚙みつかれても大事なし。

吸収同化が進めば、大きなイボがお腹に出来た感覚ぐらいでしょうか。

 

 

母数が少ないところに、雌に取り込まれずウロウロしている個体が少ないのか、雄の個体は記録が少ないとのこと。

 

深海魚は、網に掛かっても水揚げまでに網や他の魚と擦れて、本来の姿が分からなくなってしまうものも多いそうです(水圧に耐えるためにほぼ水のような体=ぶよぶよ柔らかい組織のせい)5㎝ぐらいなら網の目から漏れちゃいそうですしね。

 

私は、この不思議な結婚の話を思い出すたびに、最近の若いカップルを連想しております。韓流のおかげか、男子もお化粧したり、中性的なきれいな子が増えました。店内で、可愛い女子と静かに語らう様子をみると、話している内容が「女子同士の」「結論のない他愛なさ」不実は働かず、乱暴な言動、嫌な事は言わない。穏やかに思いやり合い、女子からすれば、一緒に居ると「まるで自分と一緒にいるように」「気疲れしない」関係性なのだろうな…で、チョウチンアンコウの結婚を思い起こしてしまうのです(黒笑

私の若い頃は「白馬に乗った王子様」を待つ乙女もいましたが、王子様には、美しさの他に、頼れる、守ってくれる、強い、あたりのキーワードが含まれていた気がします。今時の若い子達は、どんな恋愛観なのか、機会があれば聞いてみたくなっております。


話戻ってチョウチンアンコウ。
雄が雌に吸収同化される以外に、もっと餌の多い深さや浅瀬に生きる方向性を何故目指さなかったのか、そっちも気になります。陸で生きる私の感覚で見たら、なんでこんなに生きにくい世界を選んだのだろうか。深海魚が話せたら、いつか聞いてみたいテーマ。

※チョウチンアンコウをお迎えしたい方は【こちら