まだ何かできるかも

今年も文旦を取り寄せました。
私は黄色い皮色の柑橘が好き。
味も好きですが、この黄色い色合いが好き。見ていると元気が出ます。

本日ご来店のお客様が「わたし77になったの。でもね、そうするとあと残りどのくらい生きていられるかなと思ったら、90までだとしても10年ちょっとしかないの。まだ何か出来ることないかな、何か形にしたいなと思ったの」

この方、事業をされている方で、既に仕事で形を成しているのを知っていたので「仕事を続けることではダメなんですか?」と聞いたところ、ちょっと考えて「仕事もいいんだけど、そうじゃなくて、何かしたいなって思うの」というのです。

後になったらその気持ち、分かる気がしました。仕事はずっとやって来たから、習熟が進んで惰性でも出来るようになっているから、目新しさが全くないということなんでしょう。


「それに、仕事ね、まだ仕事やってるの?って言われたりもするのよ」と言うので、「どなたが?」と聞き返すとお知り合いの方に言われたとか。まだやってるの?という言葉に、引っ掛かりを感じている様子。

私の予想では、ご家族が「いい年なんだからそろそろゆっくり過ごしたら?」と労わりの気持ちで言い出したのかと思っていましたが、お知り合いと聞いて透けてきたのは、お知り合いは、働かないで暮らせている「自分の現状に満足」しているから、まだ働くの?といったのかも知れません。

お知り合いの価値観が、仕事は苦行で楽しめないというものだと、何故続けるのか分からない方かもしれない。「そんな事」を続けて何かいい事があるのか?と暗に言われて、「そんな事(事業、仕事」を大事に思って長年頑張って来たご本人にしたら、引っ掛かるのは当然。

パート仕事では、65歳になると週の労働時間を減らされる職場もあります。65歳になると定年退職になる職場もあります。65歳で正社員雇用してくれる会社はほんとに少ないと思います。本人が働きたいという意思があり、体力的にも能力的にも衰えがなくても、雇用側のルールで労働時間が減り、収入も減ります。高齢者活用と言われますが、それが現実です。70越えたら、雇いたいという会社は更に減るでしょう。

そんな話をお伝えしながら、「誰もが働き続けられるものではないのだからこそ、今出来ていることは素晴らしいし、辞めたくなるまで続ければいいですよね」「それに、やる気が萎えてないなら、これやりたい、やろうと気持ちが決まれば、一直線向かって突っ走れそうに見えますよ」と談笑。

他人の言葉は呪いでも何でもない。

自分が何も出来ない老人だと決めつけるのは自分。

この方ならきっと90越える頃までに、やりたいと思ったことを楽しんでるんじゃなかろうか。

私も、そんな老人になりたいものです。