硯箱の製作過程~その3

木地はやはり1つだけとなると木地屋さんとしては効率が悪いし商売にならないのはどこでも同じこと。ただ、昨今の需要不足で本来なら嫌がる細かい仕事も、受けてくれる木地屋さんとお付き合いがあるというので、店主ひとまずホッとしました。

 

次は予算とのすり合わせです。

この時点ではお客様の意向は置いておいて、予算内に収めるためには何が出来て何を諦めざるを得ないのかを区別・明確にします。

 

折り合いそうなところが、加飾なしの塗立仕上げ。

箱内のレイアウトも、開口を細かく開けると強度が落ちて反りが出易いということで、シンプルにするのが機能上の条件となりました。

 

今度はこれまでの経緯と木村さんとの相談結果をお客様に戻して意向確認をすることに。もしかすると、私の読みが外れて「象嵌が出来ないならいらない」となるかもしれません。

 

でも、私の頭の中の完成予想図は塗立でも端正で美しい様子で光輝いております。

 

木村さんがディテールのバリエーションをいくつかアイデア出ししてくれたのですが、組み合わせたらとても実用的で美しいものが出来そうです。それをちゃんとお伝えしなくてはと思いました。

 

念のため、一番目立つ箱の外見のイメージに近い文箱の画像を送ってもらうことにしました。木村さんのところには、食べる器以外にもたくさん漆器があるのです。さすが五代続く塗師屋さんです。

 

(次回に続きます)