私は日常、おひつを使っております。一度に三合炊いて3日程掛けて食べて、また三合炊くという繰り返し。そんな私の手前勝手な使い方ですが、実際に基づいた使い方のご紹介をいたします。
私は玄米派なので、お米の粒が大きめで色が茶ばんでますが、まあ、白米も同じ事。炊き上がったらおひつへ投入です。
玄米だとそうでもないですが、白米だと粘りがあってこびりつくことがありますので、ご飯を入れる前に水を入れ木肌を水で一旦湿らせ、ふきんで水気を拭いてご飯を入れて下さい。こびりつきが減ります。
蓋をして、保温。木は天然の断熱材です。熱いもの冷たいものをその温度のまま保ってくれます。炊きたてご飯はそのあっつい美味しいところを保ってくれるのです。
このまま食卓へ出して、温かいご飯を堪能して下さい。
熱いご飯は湯気ボーボーです。でも、不思議なことに、水滴が蓋から落ちることがありません。木地の吸水もありますが、炊飯器の中蓋と違って木ですから、断面は多孔質。導管の断面が水を留めてくれるので、ご飯の上に水滴が落ちることが無いのです。
炊飯器だと、水滴がご飯をふやかしてべたべたすることもありますが、おひつに入れると水滴が落ちることがありませんから、ふやけた米粒の不快さを味わうことがありません。
何より、おひつに入れておくと水っぽく炊きあがっても水分調整されて調度いい状態になります。冷めたら冷めたで『冷ご飯って、こんなにモチモチして美味しいんだ!」と感動するぐらい、覚めても美味しいご飯になります。
余談ですが、昔は冷蔵庫が無い生活でしたよね?そんな時代は、朝炊いたご飯は暖かいものを食べ、昼と夜は冷めた冷ご飯を食べていたそうです。
お米のでんぷん質は冷えると消化吸収がしにくくなるそうで、そのため、昔の日本人は肥満が少なかったと言われたりもします。おひつだと冷ご飯でも美味しいのですから、昔の人はたまたま木しか無かったから作ったのでしょうが、結果的に最高のお道具を開発したとも言えます。
使い始めにたわしを使って洗うと、木肌が、目に見えずとも荒れます。毛羽立つ感じをイメージして下さい。ご飯が木肌に接する平滑面が失われ、接するところが毛羽の先=点になるとすると、ご飯がくっつきにくくなり、画像のようにこびりつきなしで始末しやすい状態になります。
おひつは保温効果があるとはいえ加熱はしませんので、いずれご飯は冷めて冷たくなります。冷たくなれば、タッパに入れても同じ事。なので、タッパに移しておひつは洗って乾かして下さい。
私の店では桐のまな板も扱っておりますが、木は常に湿った状態だとカビたり腐ったりします。それが自然なのです。だから、使ったら乾燥させる、というサイクルを意識すると、長く衛生的に使えると思います。
私は3.5合炊いて粗熱が取れたら1食分ずつ小分けし冷凍。おひつは洗って乾燥タイム。今どきの食事事情は麺類も外食も間に入るでしょうから、1つのおひつで十分乾燥時間が取れるかと思います。
昔は、複数のおひつを順繰り使っては乾燥させてという手順だったと思います。なので、現代の食生活は、ひとつのおひつでも十分使いこなせる事情なので、ぜひおひつを取り入れてみて欲しいと思います。
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