【荒野の古本屋/森岡督行】

「就職しないで生きるには21」というシリーズの1冊。

心友が森岡さんのお店へ行ってみたいとFBに投稿しているのを見て、図書館に予約。

四分の三は、森岡氏が森岡書店に至るまでの紆余曲折が描かれていて、残りは森岡書店を始めたが苦労した、という話。そんな感じ。

私だって、森岡氏に及びませんが、40超えて開業するまでにはそれなりの物語があった訳で、身につまされるところがあると、心臓が痛む感覚で切ない切ない…

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文章は詩情あふれ、文学作品かと思う美しさ。

古本が好きで、古いビルが好きで、時間は出来るだけ好きなこと、趣味に使うから、生きていけるお金があればいいという欲の少ない生活。世の中の社会人生活を、当たり前のように受け入れることへの反抗だったとも書いています。

確かに、通勤電車の社内で、サラリーマンを見渡すと、しんどそうだったり、つまらなそうだったりで、安定した暮らしのためと言われても、幸せに縁遠そうで、受け入れがたい気分になったことは私にもあります。

この頃の森岡さんの世界は、自分だけの閉じた世界だったのじゃないかなと妄想。

神保町の古本屋さんの店員として修行を積み、人脈を作り、ある日茅場町の古いビルの一室が空きテナントになると知り、衝動的に古本屋として起業。

仕入れのため初めて訪れる欧州で、言葉も出来ないから、すったもんだしつつ、何とか開店したものの、ご祝儀来店が終わると閑古鳥。このままでは潰れると悩んでも方法なんて見つからず…

この辺りから、きっと世界は否が応でも他者との関わりを考え、他者がいなければ自分が成り立たないことを痛みを持って知り、摩擦を感じつつも受け入れ、段々と開いた世界になってきたのだろうなと妄想。


偶然の縁から、ある写真家の展示を行い、ギャラリー展示+古本屋という業態に変化していき、「オルタナティブ書店」の先駆けとなる。

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全て、経験は無駄にならない

人脈は大事。人の縁は誰かがいて初めて繋がるものだし、自分にその価値がなければ繋がって来ない。

経営はやってみて失敗して分かる部分が多い。
失敗したと分かった時にリカバリ出来る余地があれば続くし、ダメなら廃業。

開業してから、どんどん経済的に厳しくなっていく過程。
森岡さん精神状態が悪くなっていく中で、諦めずにもがいてみる、そんな当たりに胸アツ。


簡単に諦めないことが肝心。

そして、最初の考えや思惑にこだわらず、変化できること。

森岡さんが、経営難の渦中、既に結婚して
家族を養う立場だったと分かり、
おおお~!大丈夫かよ~!と危機感がうなぎのぼり(笑

でも、何とかなって今も茅場町に森岡書店はあるようです。


いつかのぞきに行ってみよう。

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何だか、私だけでなく、ほとんどの人は、

その人にとって抱えきれないような壁にぶち当たり、

何とかもがいて壁を越えて生きながらえます。

それぞれ、結構重たい壁にぶちあたっています。

自分だけ特別不運とか不幸ってことは無いなと思えました。


過去の大変な出来事なんて、今目の前にある壁に比べたら、

どうでもいいこと。何しろ終わっちゃってますから。


今目の前にある壁だって、似たような壁を越えた人が、

森岡さん始め一杯いると思えると、

自分だって越えられそうだよと、希望が持てたりして。


私はなんて脳天気(笑