妖怪もの

美彩さんの木彫人形は、小さいからつい「可愛い」と形容する方がいらっしゃいますが、店主に言わせると、ちょっと、違うのです。


美彩さんの個性は、年相応に複雑な人間味や凄みが出るところだと思っていて、きれい、可愛いだけじゃないところが魅力なんです。

 

つまり、単純可愛い以外のものを彫ってもらうと、面白い表情が出るのが美彩さんだなと思っておりまして、そもそものきっかけは、お客様からオーダーいただいた「銅鐸」

擬人化されていないものだったのですが、なかなかいい味わい。よく見ていると、長い面立ちの顔にも見えてきて、「何見てんのよ~!」と喋り出しそうです。古道具の妖かし。(岡野玲子さんの漫画「陰陽師」の中に出てくる玄象という琵琶を思い出しておりました)

もうそうなると、美彩さんに妖怪を彫って見せてもらいたくなって、昨年の秋頃から妖怪やってみましょうよ、と折にふれて暗示をかけて、とうとう彫ってもらったのが、今回の「濡れ女」「白鐸」

 

「濡れ女」を選んだのは店主。

びしょ濡れの髪、300mを越す長い蛇のような体に女の顔がついた「濡れ女」は、海の山姥のようなイメージ。捕まると逃げることが出来ない、命を取られる怖い妖怪。地方によっては、笑いかけられて笑い返すと一生付きまとわれるとも。

環には珍しく、怖いだけの妖怪。
だって、妖怪はそういうものだから。

のはずだったのですが、寝起きのわさっとしたようなお姫様カットが、怖くなり切れてなくて、知人の○○さんに似て見えてきたらお終い。怖くないな、「濡れ女」


低血圧の若い女性。
寝起きは超不機嫌、化粧して、ブローして、家を出る前には美人さんに変身。優しくてきれいなお姉さん完成、そんな妄想して眺めてます。

濡れ女、水も滴るいい女。
そういうことにしておいて。


濡れ女をよ~く見たい方はこちら