工芸の可能性のありか

仕入れを休んでいた、九谷焼のハチワレ招き猫が入荷いたしました。

 

昨年、高齢の絵付け職人さんが骨折した影響で、在庫が無くて仕入れが途絶えておりました。高齢だと、復帰の前に「これを期に引退」の文字がよぎる可能性もありますから、ドキドキしながら復帰の連絡を待っておりました。

 

在庫切れの間も、全国から問い合わせが入ってきておりましたから、招き猫を探している方は多い印象。

 

それと、ハチワレ猫と暮らしている方からもお問い合わせが多かったので、ハチワレスキーのネコスキーもとても多い印象。

 

当店のSNSの中で、一番情報掲載が早いのがTwitterなのですが、昨日投稿したら前々から入荷したら見に行きたいと言っていた方がご来店、お嫁入り。

 

こんな風に、ひと目見て「大好き」「欲しい」と強い情動を呼び起こす商品は、そうそうございませんから、ある意味凄い魅力を放つ招き猫。

 

昔からある九谷焼の技法を使っているというのに、古さを感じさせず、人を惹きつける秘密があるとしたら、それはこの品物を見る側の心にヒントがあるのではないでしょうか。

 

良いな、素敵だなと思う方の心の中に、良いイメージ、幸せなイメージ、心地よいイメージや思い出、それがたくさんあって、ハチワレ招き猫へ投影している。それが商品の魅力になって、売れる商品となる、そう、わたくしは分析しております。

 

あらゆる商品に共通のお話だと思っておりますから、私が仕入れを検討する時には、そういう辺りも考慮するようにしております。

 

伝統工芸は古臭くもありませんし、廃れる一方の絶滅危惧種でもありません。産地はそれぞれ試行錯誤しながら、よりよいモノづくりを頑張っているのですよね。

 

「よく考えられている作りだし、素材もいいから品質が高い、でもその分、値段も高くて買えない」と言われる辺り、つまり、欲しいと心動かされる『情動面でのクオリティ』とのギャップが課題。

 

メーカーや工房の皆さんは、いつもその情動面でご苦労されているなと思います。

良いイメージ、幸せなイメージ、心地よいイメージや思い出。

品物を見て、どれだけ買う側に理解され、思い浮かべてもらえるか。買ってくださる方、使ってくださる方の心の中が覗けたら、工芸

業界の皆さんは商品企画が楽しくなりそうな気がします。

 

でも、職人仕事や手工芸って作る事に時間を割いて成り立つもので、売り場に立って、思い思いにバラバラな話に耳を傾けて、まとまったデータを得ることに時間を割くのが大変なこと。そこから何か傾向を導いたり、アイデアをひねり出したりするのには、分析する力も必要ですしね。

 

メーカーや工房にそれをやれという無理を言うよりは、エンドユーザーとの接点の小売店が、そこをもっと頑張ればいいのですよね。昔は問屋さんがその役割を負っていたと聞いております。

仕事の流れの中で、前後で関わる工程の担当同士は、相手を思いやることで自分の仕事が円滑に回ったり、成功する。昔の問屋さんの代わりは今は小売店、つまり、私が頑張らなくちゃいけないところですね(頑張ります

 

 

 

※ハチワレ招き猫は、縁起物の招き猫として開業祝、新居祝、結婚祝、猫好きなあの方への贈り物におすすめ

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