ある意味、究極の贅沢

漆は出来上がりを待つ間の時間から、楽しみが始まるので、ある意味金銭価値以上に価値ある楽しみ、道楽かもしれないというお話。

漆器は完成まで時間がかかる商品です。待つのが苦手な現代人には向かない商品とも言えますし、『欲しい物がすぐ手に入る感動の薄い現代だからこそ、待って育てる楽しみを味わえる貴重な商品』とも言えます。

うちのお椀を作って下さってる木村正人さんに初めて会いに行った時に「発注してから最短でも3ヶ月はかかりますよ」と言われて、正直「え~!」と心の叫び。

この感覚、まさに現代人。

私は漆器の製作工程を輪島で見聞きしてきて分かっていたはずなのに、発注したら遅くともひと月で手に入る工業製品がほとんどの生活に慣れすぎた弊害です。「最低でも」という条件つきですから、物によってはさらに時間が必要な訳です。

津軽塗だと製作工程が50ほどあるそうです。それぞれが30分コースで終わればいいんですけど、そうもいかない訳で、積み重ねると3ヶ月が最短になります。日常生活で誰もが体験する行為ではないから、聞いただけでは正直理解は及びません。

一度体験してみたらいいのかもしれませんね。

余談ですが。
輪島や木村さんのところで見聞したことから想像すると、体験したらあまりの大変さに「素敵なんだけど高いのよね」なんてきっと誰も言わなくなるだろうなと正直思っています。といって、使う側の価値の根拠は、自分が作ると大変だからというところに重きを置いてはいないので、作ってみたところで大変さに嫌気がさして、ますます漆から離れそうですから、それなら体験しない方がマシかしらと思ったり。

私は見る・触れる・使うことには執着はあっても、作るところはそうでもありません。チラシの裏に落書きを描くように誰にでも簡単に出来るならやってみますけど、自分の不器用さがわかっているので気乗りが一向にしないのです。

それに、木村さんが、私の欲しいものを聞いて、私が想像している以上に端整で使い勝手のよいものを作ってくれますから、無駄に寄り道してないで「こんな感じのものが欲しいです、むにゃむにゃ…」と妄想をお伝えしてお任せする方が欲しいもの・見たいものに出会う近道。後は、わくわくして「早く約束の日が来ないかな~」「こんな色でやってくるといいな~」なんて何かの拍子に思い浮かべてニヤニヤしているといいのです。

私は本当に偶然に木村さんに行き当たりましたが、私の神様が引きあわせてくれたんだろうなと信じております。

ちなみに、うちのお店はまだ漆の商品のバリエーションが少いので、ご希望のお品が見当たらないことも多々あるかと思います。少しずつバリエーションを増やして行くつもりですが、そんなに気長に待てない方は、木村さんに直接ご相談してみて下さいね。連絡先はコチラからどうぞ。

次は、手元に届いてから使って育てる楽しみについて書きたいと思います。